天然塩って、どういうものを想像されますか?
塩も価格差が非常に大きい調味料と思ったことありませんか?
1キロ60円ぐらいのものから7000円ぐらいのものまで、、、この違いは何でしょう。
原材料や工程を理解すれば、この価格差はうなづけると思います。
塩が1971年に安定供給のために塩業近代化臨時措置法が施工され、「イオン交換膜式」という製法を推し進められました。
これにより、国内のほとんどが「イオン交換膜式」で製造するようになりました。
1997年 塩専売法が廃止されて以来、海外からの塩が輸入されるようになり、国内でも日本古来の製法で塩作りが復活し始めました。
塩の製造・販売・輸入の自由化が再開されたのは、長い歴史で考えれば、ほんのつい最近のことです。
これをきっかけに、今ではかなり多くの種類の塩が流通しています。
では、塩はどのように選べばイイのでしょう?
裏のラベル、はじめて見ると見たことのない内容もありますが、理解すれば、とてもわかりやすいです。
では、ご紹介します。
天然塩って何?見落としがちな塩の選び方!
大きく4つに分類してみました。
1、天然塩、自然塩
海から直接くみ上げた、水分を蒸発させた塩です。古来の作り方で作られた塩
海外では、岩塩や湖塩も、これに当たります。
2、精製塩
安定供給のための製法「イオン交換膜式」で生産された塩
3、再生加工塩
メキシコやオーストラリアから輸入された岩塩や天日塩などを、一度海水で溶かし再生加工したものです。
4、添加物が入っている塩
では、どう見分けるのか?裏のラベル表示について、ご説明します。
まず、原材料です。
塩に使われている原材料は、ほぼ下の4種類です。
1、「海水」
日本では一番多い材料ですが、世界的にみれば、海水を原料として作られた塩は1/3です。
2、「岩塩」
大昔、海だった土地が地殻変動によって岩塩層を作りだしました。この岩塩層から取りだした塩です。
世界的には、この塩が大半を占めており、2/3は岩塩を使用しています。
3、「湖塩」
地殻変動などにより、陸に閉じ込められた湖。からだが浮くほどの塩分を含む死海などのような塩分濃度の高い海水の湖から作られる塩です。
4、「天日(海)塩」
海外で作られた天日の塩を原料としている場合、このような表記があります。
主に、工業用として大量に輸入され、その一部が食用に加工されています。
輸入元は、主にオーストラリアやメキシコが多いです。
次に「工程」です。
「工程」?と思うかも知れませんが、塩のパッケージの裏側をみると、「工程」の欄がきちんとあります。
1、濃縮(濃い塩水を作る)“採かん”
・イオン交換膜:安価で大量に生産できる製法。海水中の塩分をイオン膜を利用して濃縮していきます。塩分が約18%まで濃縮されます。Na,Clを取りだすため、ミネラル分はほとんど入りません。
・逆浸透膜:海水中の塩分を逆浸透膜を利用して濃縮する工程です。海水から真水を作る時に出る濃い海水(塩分6%)を利用します。
・溶解:天日塩、岩塩などを水や海水に溶かして濃い塩水を得る工程です。
・浸漬:「藻塩」を作る工程で、海藻等を塩水に浸し、海藻の旨味成分を溶出させる工程です。
・天日:塩田等で、太陽または風力といった自然エネルギーを利用し、水分を蒸発させる工程です。
塩田地盤上で濃縮させる揚浜・入浜、漁網状のネット上部から海水を流下循環させ濃縮するネット式、竹笹を立体的に組上げ、上部から海水を流下循環させて蒸発させる枝条架
2、塩を結晶化する工程“煎ごう”
・平釜:形状に関わらず、密閉されていない釜で煮つめて塩水を濃縮または結晶化する工程
・立釜:完全密閉型蒸発缶を用いて、減圧または加圧状態で加熱蒸発させて、塩水を濃縮または結晶化する工程
・噴霧乾燥:海水または塩水を噴霧して、その液滴を濃縮または結晶化する工程
・加熱ドラム:海水または塩水を加熱した金属板に吹きつけて結晶化する工程
3、加工
これは、塩の品質や性状を整える工程
・乾燥:塩の結晶の水分を蒸発させて水分を取り除き、サラサラにする工程。加熱、減圧、除湿乾燥を含み、天日乾燥は含まれません。
・粉砕:塩の結晶を粉砕して小さくする工程
・焼成:「焼塩」を作る工程で、塩の結晶を加熱することによって成分を変化させて、サラサラにする工程。
380℃以上の場合は「高温焼成」、380℃未満の場合は「低温焼成」と記載することがあります。
・混合:添加物を加える、または違う塩を混合する工程
・洗浄:水または塩水で、塩の表面を洗う工程
・造粒:塩の結晶を加圧または添加物を加えて成型する工程
・採掘:岩塩または湖塩を掘り出す、または採取する工程
では、先程の塩、工程 溶解 平釜とありますね。
天日塩、岩塩などを水や海水に溶かして濃い塩水を作り(溶解)形状に関わらず、密閉されていない釜で煮つめて塩水を濃縮または結晶化(平窯)している塩です。
原材料には、天日海塩(メキシコとオースとラリア)海水(日本)とあるので、メキシコとオーストラリアから輸入した塩を海水に溶解して釜で煮詰めて塩を作りましたという事になります。
これは、再生加工塩ですね。
天然塩・自然塩は、その地域でとれたものを、伝統の製法で作っている塩としたいと思います。
ラベルには、・海水(地域) ・工程 天日や平釜など(イオン交換膜ではないもの)
こんな感じです。
天日、平釜
自然エネルギーを使って、人がコツコツと作っていく工程ですね。
価格の大きな差は、この工程によって大きな差がでます。
どれだけのテマヒマがかけて作られたものか、そして原材料の違い、すごく価値のあるものと感じて頂けるかと思います。
まとめ
いかがですか。
天然塩のイメージ通りでしたか?
ぜひ、気にして頂きたいポイントを4つ書かせて頂きます。
ご参考にして下さい。
1、天然塩・自然塩を1つ試してみてください。できれば国産のものを!
少しの塩で、食事をとても美味しく頂けます。
ミネラルも豊富で、自然の力を頂くことにつながります。
2、イオン交換膜を使用したものについては、精製塩です。
海水が汚染されている環境に至っては汚染の影響を受けにくい塩という事が言えます。
わたしは、食事には、あまり使用しません。
3、再生加工塩は、自然塩といえば自然塩なのかも知れませんが、昔ながらの製法で作られた自然塩とは少し違いますね。
工程を見る前は、わたしも100%自然塩と思っていました。
安価ですので、使用用途によって、うまく使いこなせればと思ってます。
4、工程に混合という文字が入っているものは、添加物が入ってます。
減塩らしきパッケージになっているものもありますが、よくご確認下さい。
※岩塩も天然塩で、種類はたくさんありますが、通常岩塩にはミネラル分がほとんど含まれてません。
含まれていたとしても体内での消化吸収が行われないものがほとんどと言われています。
ただ、それぞれに特徴があり、味も様々で効果も様々なので、こちらも試してみる価値はあると思います。
塩は、とれる場所はもちろんのこと、この工程によっても形も色も味も異なります。
もちろん、同じ自然塩、天然塩と言われるものでも、産地も異なりますし、結晶化のさせ方も異なります。
加熱の仕方によって、ミネラルの含有量も異なるのです。
そういう意味では、いろんな塩を試して、数種類の好みの塩を持っておくと、自宅での樂しみも増えますね。
他にも、海外の塩で、海塩や湖塩でおいしいものもたくさんあります。
入手できる範囲で試されては、いかがでしょう。
お漬物をつけるのにはこの塩を使おう! お料理には、この塩! 食卓でサラダには、この塩! など、、、
おまけに、塩には除菌作用や汚れを落とす作用、お風呂に入浴剤として使用したり、塩温石で筋肉痛や肩こりの部分を癒したり、、、もできます。
食用で、この塩食べたいなって思ったら、余った塩は掃除に使ったりもできます。
是非、こだわりの塩選びしてみて下さい!
<参考> 食用塩公正取引協議会
実業之日本社 調味料検定 公式テキスト
国際食学協会 食学調味料講座テキスト(下倉樹 監修)
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