世界で愛される日本の調味料“醤油”のおいしさの秘密と7つの働き!!

日本特有の調味料のひとつである、醤油。
これが、今世界で愛されている調味料となっている事を御存じですか。
世界100か国以上で日本のしょうゆが販売されています。
最近では、和食がユネスコ世界遺産に登録されたことも影響して、一層人気が出ているようです。
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では、その“醤油”のおいしさの秘密は…

しょうゆが持つ奥深く、繊細な味わいは、味覚を構成する5つの基本味(甘み・酸味・塩味・苦み・うまみ)を全て備えていることで生まれます。
これは、麹菌、乳酸菌、酵母といった微生物が行う“発酵”の働きによるものです。

5つの味の中身は

甘み・・・小麦に含まれるでんぷんがブドウ糖に!
     また一部が酵母の働きでグリセリンなどの糖アルコールに!
酸味・・・乳酸菌の働きで約9種類の有機酸が含まれている
塩味・・・海水の5~6倍の濃度
     (甘みや酸味により、やわらげられている)
苦み・・・アミノ酸やペプチド類
     (酸味、塩味と一緒に存在することでコクになっている)
うまみ・・約20種類のアミノ酸

また、しょうゆには約300種類の香り成分が含まれていることがわかっています。
果物や花の香りの主成分であるエステルやカルボニル化合物群など、つまり、リンゴやモモ、パイナップルなどの果物や、バラ、ヒヤシンスなど花の香りの主成分が、しょうゆの香りを構成しているのです。
すごいですね。味も香りも抜群!

おまけに発酵食品なので、栄養価もすばらしいです。

では、そんな味・香り・栄養ともにすごい醤油の働きを御紹介します。

世界で愛される日本の調味料“しょうゆ”の7つの働き

①消臭効果

しょうゆには、肉や魚の生臭いにおいを消す効果があります。
サバやイワシなど生臭みのある青魚の調理には、しょうゆはかかせない調味料ですね。
これは、しょうゆをつけると魚臭さの原因物質であるトリメチルアミンを中和させることができます。
刺身にも醤油が欠かせないのも、うなづけます。
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日本料理の伝統的な下ごしらえ法のしょうゆ洗いはこの効果とおなじで、魚や肉の臭みを消します。

②加熱効果

しょうゆを加熱した時の食欲をそそる香ばしさ、すき焼き、照り焼き、せんべいなどの香りいかがですか?
多くの方が好きな香りだと思います。
このように、しょうゆは加熱すると食欲をそそる照りと色、そして芳香を放ちます。
これは、しょうゆに含まれるアミノ酸とみりんや砂糖に含まれる糖分がメイラード反応を起こした時に生じるメラノイジンによるものです。
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③静菌・細菌効果

醤油に含まれる食塩(浸透圧作用)、有機酸(酸性Ph)、アルコールには大腸菌などの増殖を食い止める静菌や死滅させる滅菌効果があります。
昔から魚や肉を醤油に浸して保存する知恵が伝えられています。
江戸前鮨にある「ヅケ」などはよい例です。佃煮もこの効果を利用したものです。
実験で、しょうゆに食中毒菌の一定量を入れ、室内に放置しておいたところ、早くて30分程度で菌が死滅したという報告があります。
しょうゆが間接的にでも食中毒を防ぐ働きがあることは事実のようです。
腸管出血性大腸菌「O157」 は、醤油の中では増殖しないということも報告されています。

④緩衝効果

わたしたちが“おいしい”と感じる食べ物の多くは弱酸性で、もっともおいしいと感じるのは食材がPH4~6の状態にあるときだと考えられています。
しょうゆは、もともと弱酸性ですが、さらに食材のphを大きく変化する事を抑える“緩衝能”という性質も備えています。
口に合わない食べ物にしょうゆをかけると意外においしく食べられたという経験はありませんか?
料理をおいしく感じるためには、食べたときに急激な味、特に酸味の変化が起きないようにする力が必要で、この力のことを“緩衝能”といいます。
酸性度の異なるものを、おいしく感じる弱酸性に近づけるという、すごい力を持っています。
なんでもかんでも、しょうゆをかけて食べることを好む人がいるのは、この働きのおかげかもしれません。

⑤対比効果

金時豆のような甘い煮豆の仕上げに少量の醤油を入れると、甘みを引き立てます。
これは、醤油が食材や料理の持つ甘みを引き立たせる効果があるからです。

⑥抑制効果

しょうゆには塩味をやわらげる働きもあります。
塩辛すぎる食材、例えば塩鮭や漬物にしょうゆをかけてみると、塩味がやわらぐような感じがすることありませんか?
これはしょうゆに含まれる有機酸類が塩味をやわらげる働きをするためなのです。

⑦相乗効果

しょうゆの旨みであるグルタミン酸が、かつおぶしや煮干しに含まれるイノシン酸、干ししいたけに含まれるグアニル酸と合わさり、こくのある深いうまみが生まれます。

その他、生理的な効果として
食欲増進、ビタミンB1の保護、抗酸化作用、血圧の降下、アレルギーの抑制など
そして、ガンの抑制効果もみられるとの研究発表もあります。

まとめ

いかがですか。
醤油、すごすぎます。
そして、昔の人から伝わった使い方、調理法など、わたしたちの食習慣にきちんと反映されています。

こんな世界で愛される素晴らしい調味料、実は原料を全て国産で作られているものは、1%もないと言われています。
そして、昔ながらの製法である木桶の数も少なく、全体の1%にも満たないのが現状です。
その上、原料にも製法にもこだわった貴重な醤油が人気ゆえに海外輸出が増えているようです。
それも嬉しい事ですが、わたしたち日本人が醤油の良さをしっかりと知って、いつまでもホンモノのおいしい醤油が日本に生き続けるよう、昔ながらの醤油屋さんを応援していきましょう。
ちなみに、わたしは醤油が大好きです。
子どものころから、母が樽に入った醤油を買って使ってくれたからでしょう。
今は、その醤油屋さんは廃業されて、もう味わえないですが、本当においしかった記憶があります。
家の醤油がおいしすぎて、外で食べる醤油がおいしくないと感じたことを今でも覚えています。
その記憶があるので、昔ながらで作られたホンモノのおいしい醤油を食べたいと心から思っています。
おいしい醤油、一度食べたら、やめられないですよ。

醤油の種類は、JAS規格で5種類あります。
その違い、製造方法については、後日御紹介します!

<参考>実業之日本社 調味料検定 公式テキスト
   キッコーマン ホームページ
   国際食学協会 食学調味料講座テキスト(下倉樹 監修)

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